あたしは小さく呟く。



「ぬいぐるみ?」



楓は中腰になり、あたしの目線に合わせて聞き返した。

その途端、ぽっと顔が熱くなるのを感じる。



「うん…っ」



目線をそらした先には……

ふわふわした雑貨が置いてある可愛らしいお店。




あっ!!


あのクマのぬいぐるみっ!!



「あれ、楓みたい」



指を指した先には、水色のクマのぬいぐるみ。




「え? どれ? 見えないんだけど…」



目を細めながら、楓は指差す先を追う。

本当に見えてないみたいだ。



「…クマのぬいぐるみがいい」



あたしは、楓に言った。



このまま会えなくなっても…

楓といたこと忘れないように。