そんな私を見て、クスクスと笑う彼を盗み見る。 20代後半っぽいサラリーマン。 黒いスーツが似合ってて素敵。 高くて通った鼻。 ふわっとしたゆるんだ口元。 やわらかそうな黒い髪。 優しそうな目の下にうっすらうつる、暈。 ト ク ン ト ク ン ト ク ン 心臓の鼓動が妙に大きく、 身体中に響き渡っていく。 それが何なのかよく分からない。