楓まだかなぁ… 「陽菜ちゃんっ」 愛おしい声とともに、重くなった頭。 「楓…!!」 彼の大きな手は、頭の上からあたしの頬へと移動する。 「会いたかった…陽菜ちゃんに」 潤んだ切なそうな瞳。 そう呟く楓に、吸い込まれそうになった。 世界が、やっと鮮明に動き出したような気がする。 「あたしも…会いたかった」 嘘でもいい。 楓の言葉が必要。 「そばにいて…も…いい?」 涙のせいでゆらゆらと楓の顔が歪む。 好きがあふれ出す。 もう心が満タンだよ… これ以上、無理。