「佐野さーん、コーヒーどうすか?」

「お、わざわざありがとな」


一緒に出張に来ていた後輩、もとい部下の拓郎は本当に気が利くヤツ。

彼から缶コーヒーをもらい、ぐいっと一口飲み干す。


甘さがないブラックコーヒーは、眠気覚ましにピッタリだ。



ブーブーブー…



ポケットの中で、携帯が震える。

佐奈からかな?


慌てて取り出すと、着信ではなくメールだった。




「奥さんから電話すかー?」


「違うよ、メール」




受信:陽菜

陽菜だよ!!
登録よろしくね(。・ω・。)

楓が声かけてくれたとこで
待ってるね。



……陽菜ちゃんからだった。

思わず綻ぶ顔。


口元は自然とニヤニヤ緩んでしまう。