「じゃ、行ってきます」


「おぅ、行ってらっしゃい」



『またね』



後ろ髪を引かれる思いで手を振った。



また…ね。



あたしに背を向けて、歩き始める楓。

人がたくさんいても彼を見失うことはない。



後姿を目で追う。



「行かないで」



そうわがままを言えばよかった。


でも……

言えなかった。




始まったばかりの長い1日。



早く終われ。




別れたばかりなのに……

もう会いたい。



楓の笑顔が恋しいよ。