「そんな泣きそうな顔しないで? 送り出せなくなっちゃうよ、俺」 「……かぇ…で…」 「ほーら、笑って?」 口元をつままれる。 楓はあたしの顔を見て笑った。 「わ、笑わないでよぅ…」 「アハハ、ごめん」 また会話が途切れる。 楓は遠い目をしながら、どこかを見ていた。 …このまま一緒にいたら、楓の邪魔になっちゃうよね。 楓は優しいから… ぜったい自分から切り出すことはないだろう。 「楓、そろそろ電車行っちゃう…行くね?」 「あ、…おぉ」 楓は我に返ったように頷く。