寂れた街の真ん中に立つビジネスホテル。



こんなにも想いが詰まった部屋。

好きの気持ちが詰まってしまった部屋。




8時ジャスト。

楓と別れるときがきてしまった。



「陽菜ちゃん」



ドアの前で立ち止まるあたしの名を呼ぶ愛おしい彼。



「な……に?」



ゆっくりと振り向く。

少しでも楓と一緒にいたいから。


楓の顔を見ると、切なそうに顔を歪ませていて…

いつもの笑顔はどこにもなかった。



あ……泣きそう。


足が震える。



これ以上…楓の顔見れないよ。