「ぁ…ひにゃちゃん、おはよ」



楓はへらっと笑う。


" サ ナ " 女の人の名前を呼んだのも気づいていないようだ。




それに、ひにゃちゃんって……

名前も言えてない。


それは、まだ寝ぼけてるから。

でも寝ぼけていても……


はっきりと女の人の名前を呼んだ。



きっと隣にいて当たり前の人なんだろう。



笑えるくらいの自分のネガティブ思考も加わって、痛みはさらに増す一方。





「おはよう」





でもあたしは笑った。