ゆっくり向きを変えると、

楓のはにかんだ、可愛らしい笑顔が広がっている。



あたしの居場所はここだ。

ここしかない。


ぼんやりと幸せボケする頭。

使えない頭でそんなことばかり考える。


それしか考えられない。



ふぁっと大きな欠伸。

それを合図に、静かに響く声。



「陽菜ちゃん、おやすみ」


「…うん、おやすみ」



数分経つと、すーすーと彼の静かな寝息が聞こえてきた。


疲れてたんだな。

やっぱり。


人と添い寝すること自体久しぶりで…

心臓は五月蝿くなる一方。


でもなんだか心地よくて、

重くなってきた瞼を静かに閉じた。