楓は、何も言わずにごろっとあたしに近づいて寝転んだ。


顔が近い。

ほんのり煙草の匂いが少しする。



「…もっと近くおいで」



頭の後ろに回った腕。


あたしの身体を胸に引き寄せて……

優しく抱きしめてくれた。



「か…えで?」



何かさっきと雰囲気が変わった気がする。



なんでかは分からないけど……

突然唇に触れた楓の唇。



「……っ」



慌てて目をつぶった。



長くて深いキス。



ふわっとほろ苦い煙草の香りがあたしの口の中で広がる。



人が変わった気がしてしまうのは…


楓の潤んだ瞳からかも知れない。




何を考えてるのか分からなくて少し怖い。






目をつぶって楓の鼓動を聞いた。