「言わないとキスするぞ~?」



そう笑った楓の表情から……


冗談なのか。

本気なのか。



分からなかった。



でも、これだけは言える。



「…してもいいよ」




ぎゅ……


後ろから楓を強く抱きしめる。


男の人らしい大きな背中。



「お願い…抱いて」



目をつぶって楓の返事を待つ。


とくん…とくんと心臓の音。

あたしの音だけじゃなくて、楓の鼓動も聞こえてきた。




「ほんとに…言ってる?」



顔は見えない。


だけど…さっきよりも早まっていく楓の鼓動のリズム。