当たり前にベッドに腰掛けた楓。

手が触れそうで触れない、そんなじれったい距離。



「ほら…口あけて」



言われるままに口をあける。


半熟のとろとろのたまごが、口の中で広がる。

すっごく美味しい。



「美味しい?」


「おいひー…」



楓はふわっと笑う。

あたしの心はドキリと鳴る。



「もっと食べる?」



スプーンの上にのせられたオムライス。



『いらない』そう言うかわりに首を振った。

…少し胃が痛いから。



「そっか…じゃ、なんか飲む? コーラ? ウーロン茶?」


「オレンジジュース…ある?」



「あるよ♪」



そう言うと慣れた手つきで冷蔵庫の中からビンのオレンジジュースをとりだし、開けてくれた。