走馬灯のように巡る、他愛のない風景。

台所に立つお母さんの隣で…


手伝っているあたし。


そのあたしは、中学生のときの制服に身をつつんでいた。


高校生になってから……

一度もそんなことしてない。


話したり、目を合わすことすら……



お母さん………





「じゃ…頼もうかっ」



明るく響いた彼の声で我に返る。

あたしは慌てて頷く。

それを確認した彼は、よしっと立ち上がると室内電話を手に取り、慣れた手つきで注文する。



なんだか……

それだけなのにカッコよかった。