クローゼットの端っこにおかれた黒いバッグ。


その中にポツリと置かれたドライヤー…

小さくて、持ち歩き用みたい。



肩まで伸びた髪。

長くもないし…短くもない。


コンセントを繋いで、そんな中途半端な髪を乾かす。



「…弱っ」



さ~…っと温かい風がくるくらい。


これで…乾かせって?

自然乾燥と同じくらい遅いよ、きっと。



なんか、抜けてる。



思わず笑みがこぼれた。



可愛いなぁ…

まさしく一喜一憂。



恋する乙女みたいに……



「……っ」



自分が思ったことに恥ずかしくなって、どさっとWベッドに飛び込む。


ふかふかで気持ちぃ…



自分の鼓動の音が子守唄のように聞こえた。

眠くなってくる……