「妻もろくに愛してやれなくて、妻以外に好きな子がいて…そんな俺が、父親になっていいのかなって…俺、自信ないままなんだ。昔も今も…」




あぁ、そうか…

楓を苦しめてるのは私の存在。


曖昧すぎる私たちの関係、距離。



こんなに楓を苦しめてたんだ。

別れてからもずっと…



ごめん、ごめんね? 楓。



「陽菜…ちゃん?」



楓の心配そうな消えてしまいそうな、

小さな声で我に返る。



頬を伝う冷たいもの。

それは涙。




心から溢れた感情が、涙に姿を変えて何かを訴えた。


楓は静かにタオルを私の前に置いた。

初めて会ったときに拭いてくれた…あの、水色のタオル。