「はい、ココア」 「あ、ありがとう」 楓から手渡された温かいホットココアに口をつける。 コーヒーの苦い香りが充満する店内。 それが一瞬で消えるように、甘さが広がる。 「ふはー、美味しい」 「そ? それは良かった」 楓の眩しいほどの笑み。 キュンっと胸が狭くなった。 この時間が一生続けばいいのに。 ずっと話していられたらいいのに。 消えていた想いがまた、甦る。