「おねがい…します」 私……変だ。 彼の顔を見ることができない。 心臓は、そんな私をあざ笑うかのようにドクドクと激しく脈打つ。 「まかせとけ」 そんな彼の声色を残して、ゆっくりと閉まりかけるドア。 部屋に戻っちゃうの? 行っちゃうの? 一瞬にして、私の心の中に何かが芽生える。 【恐怖】【孤独】【寂しさ】 ……一人にしないで。 「ど…どうかした?」 彼の困ったような声で我に返った。 真っ白なスーツの袖口を掴む私の真っ白な腕。 そんなことをしていた自分自身に驚く。