何気ない、いつもと同じような日。

そう思っていた。


佐奈に作ってもらったお弁当を広げる。

彼女らしい凝ったお弁当。



部下の拓郎と二人、屋上の隅でランチ。

OLさんたちの華やかさは無く、むさ苦しい面子だ。


「あ、佐野さん! そういえば…」



メロンパンを頬張る拓郎に、バンッと背中を叩たかれる。


……なんか嫌な予感する。

拓郎がこんなに目を輝かせてるなんて、ろくなことじゃない。


『今日、キャバ行きませんか?』

『合コン数あわせで来てくださいよー』


きっと今回もこんな感じだろう。


断るけど。

ま、でも聞いてはやるか。


思い出すように話し始める彼の話に耳を傾けた。



「前、出張行ってたとこの駅前に…小学生みたいに小さい子が路上ライブしてて、めっちゃ可愛かったんですよー」


「へー、そう」


「可愛くて声かけたんすけど、高校生らしくて」


「お前、趣味ロリコン寄りだもんなー…」