また何かに期待をする、馬鹿な私。

どうしていつもこうなんだろう。



楓を忘れたハズだった。

でもそれは私のただの勘違い。



「ん、いいよ。じゃ行こうか」



楓は優しい笑みを浮かべると、

私の右手を握った。



まるで、お父さんみたいに。

子供と手を繋ぐような父親みたいに。



「……、」


「陽菜…ちゃん?」



私は気づいたときにはもう、楓の手を振り払っていて…

目の前に広がるのは楓のビックリしたような困ったような顔。




無意識だった。





「あ…ゴメン、ギター…しまわなきゃ」


「あ、それもそうだよな。ごめん…」