「寒くない? なんか奢るよ、話したいこともあるし」



つい最近まで、あたかも一緒にいて交流があって…

そんな風に話す楓を見て戸惑う。



溢れてきたのは、忘れかけていたはずの「好き」の気持ち。

「人を愛す」という切なくて愛おしい気持ち。




『まだ歌いたいから、無理』


『もう帰るから…ゴメン』


『別にいいよー』





断る言葉ならたくさんある。


でも、駄目だった。





「……じゃ、スタバのココアとドーナツで聞いてあげる」





私、何も変わってない。