単身赴任……

聞きなれないコトバは大人の響きを漂わせる。

私にはまったく関係のない単語に彼との遠い距離が、また遠くなったような気がした。



「シャワーあびてきな? 風邪引く」



彼はペットボトルの水を軽く飲み干すと、立ち尽くすあたしに優しく囁いた。


小さく頷く。

そんな私の顔は俯き加減。


頬が熱くて、可笑しくなりそうだったからだ。


彼の視線を背中に感じながら、足早にシャワールームへ向かう。



真っ白なタイルで統一されたシャワールームに、眩しさを感じる。

でも少し狭い部屋は私の心を落ち着かせるのには十分だった。



取り付けられた鏡に映し出された自分の姿。


瞼は重く赤く腫れていて…

虚ろな目の下には深いクマ。


頬はチークを塗ったように赤い。


決して、可愛いとは言えない顔。