その鼻歌がピタリと止んだと思うと、ぱたぱたと先生が離れていくのを感じる。
……これでいい。
先生も、あたしと関わっちゃったら何かと面倒だし。
寂しいって思ってしまった心を、そう思って埋める。
余計な感情は捨てろ。
自分に偽れ。
それが他人を守る方法だと思う。
俯いたまま目を閉じると、
「楓……」
浮かぶのは楓の顔ばかり。
クマのぬいぐるみは…
バッグの中に入ってる。
持ち歩いてないと少し大げさかもしれないけど、
生きてる心地がしないの。
あの数時間。
楓はあたしのすべてだった。
生きていく希望だった。
浸っているとパタパタと徐々に近づいてくる足音。



