突然のことだった。


陽菜が俺の前からいなくなるなんて…

思いもしなかったこと。



それなのに………―




彼女が出て行った玄関を見つめたまま、

どれくらい時間がたっただろう。


現実味がない。


頭はぼーっと夢を見ているようで……

いや、これは夢かもしれない。

そう思わせてしまうほど。



ただの悪夢だったら良かったのに。

目を覚ましたら、隣に陽菜ちゃんが愛らしい寝顔を浮かべながら寝ていて……


でも、現実は違う。



ゆらりと重い足を動かしてベッドルームへと向かう。



見慣れた景色が広がるだけで、

彼女の姿はどこにもない。