ゆっくり目を開くと、

楓の目から涙がぽろぽろ流れ出していた。




「泣かないで…」




あたしは、頬をやさしく撫でる。


そっと人差し指で涙をふき取って……

いつも楓がしてくれてるみたいに。




「だったら……ぃ……よっ」




よく聞き取れなかった。



最後何を言ってるか……

でも、大体予想がつく。




だって目が………

" 行 く な "

そう言ってる。



都合よく見えるだけかもしれないけど。






右手にバッグ。

左手にぬいぐるみ。