君のもの

自作のチョコに自信がないんだろう、俺に箱を差し出したら直ぐに、机にならんだ二つの箱を見て呟く君。


「…モテるんだなぁ。」

「は?」

「だって、帰りにもらい損ねたの合わせたら3つだもん。」


机の上の箱を突きながら、少し複雑な顔で言った君。


「だから、これは義理だって。」

「でも、じゃあ2つは本命だもん。」

「…1つは貰ってない。」

「それでも、気持ちはあるんだから…」


そこまで言うと、俯いてしまった。嫉妬とは少し違った感情なのか、恨み嫉みよりは…


「‥‥不満?」

「…」


机に並んだチョコを指差した俺の言葉に、静かに首を振る彼女。

受け取る事が不満と言うわけでもない。

…なんて事には気づいてるよ。



「じゃ、不安?」

「っ‥‥」


少し自信あり気に放たれた言葉に、君は目を見開いて、俺のそんな態度が不服だったのか、恨めしそうに唇を尖らせた。


「いーじゃん。俺、仮にチョコ100個もらうより、お前からもらう1つの方が嬉しい。」


彼女がくれたチョコの包みを開けながら言った。



「‥‥例えぐじゃぐじゃでも。」

「‥‥あは。」


箱の中身を見て、そう付け加え視線をやると、顔を上げた彼女は、ごまかすように笑った。


「味は、チョコだから!」


必死に訴える君は、誰より愛しい。

だから君さえいれば、チョコなんかいらない。


「まーなぁ。」

「ほんとだよ?チョコが主原料だから!」

「はいはい。」

「…ほんとだもん。」

「うん、チョコだ。」

「でしょ!」


そこで、そんなに自信満々に言われても…何て思った事は伏せておこう。

君がまた拗ねるといけないから。