君のもの

そう、今日は2月14日。

所謂、女の子が好きな人にチョコレートをあげる日だ。海外では逆のパターンが多いみたいだけど、ここは日本なわけで…

珍しく俺なんかにも、チョコをくれる奇特な子がいたのだった。




でも、いらない。



「で?」

「ん?」

「まだもらってないけど?」



君以外からは、なくていい。



「っ…こんなにもらってるのにまだ欲しいの?浮気だぁ〜!」


今度はしゅんと悲しそうに、うなだれた。


「や、違うだろ!お前からだ、お前から!」

「あ…」


俺がそう言ったら、自分の鞄をゴソゴソと探る君。


「‥‥」


が、すぐに手を止め、俺を見上げてきた。


「なに?忘れたとか?」

「あのね、上手く出来なかったの…頑張って作ったんだよ?作ったんだけど…」



眉を八の字に垂らして、もの凄く申し訳なさそうに俺を振り返る彼女。


「大丈夫。最初から見た目や味は期待してない。」

「酷いっ!」

「ほら、よこせ。」

「‥はい。」


差し出されたピンクの包みに真っ赤なリボンの箱。



中身なんか入ってなくていい。


本当は、箱さえいらない。

綺麗な包みも、リボンだって、そう。


いらない。

‥‥何一つ。