「坂本さんもさ、美那がいるとわかりながらよく夏川くんと浮気してたよね」

「…………。そういえば、どっちが付き合おうって言ったんだろ」

「さあね~。なんとなく坂本さんかな~って感じはする。あの子けっこう黒い噂あるもの」

「そうなの?」


坂本さんの姿を思い出す。


染めているのか、ナチュラルブラウンのロングヘアに、くりっとした大きい目、形の良い鼻と唇、細い体。


背は低いし、美人、というよりは可愛い系の野球部のマネージャー。


冷静になって考えてみると、あんな子が近くにいるんだから、悠が浮気したくなるのもなんとなく分かる気がする。


あの子が付き合おうと言えば、大抵の男はOKするだろうな。


それに比べてあたしは、特別整ってはいない顔立ちとスタイル、人一倍高い身長。


あの悠でさえ、愛想つかしても仕方がなかったということか……。


「髪は染めてるし、ピアスは開けてるし、化粧もしてるでしょ。浮気した男は夏川くん含め数知れず」

「そうだったの?」


あたしたちは一応進学校だから、化粧とかそういう系は一切禁止なんだけど、そういう子もたまにいるんだよね。


「初経験も中学のうちに済ませ、それから浮気相手と一回はしてるとか……」

「まあ随分ご苦労なこと」


あの顔からは想像できないな。


化粧しててもナチュラルだから清楚な感じだし。



………て、ん?