ガチャン!!!!



キラキラしたグラスは音を立てて砕け散った。



『ほっといて』




「沙織!待ちなさい!!!!!!その態度を言ってるのよ!?」






心配でもしてくれるのかな、なんて期待なんかしない。







そんな期待、いっつも裏切られてきたんだから、もうしない。






そう決めた。




『……もしもし』



外はもう日が暮れていて、まだ春だということもあり肌寒さも感じた。


行きつけのバーに入るとすぐに翔太郎から電話がかかってきた。



「また喧嘩したのか?全く。おふくろカンカンだぞ?」



『…………別に』



「……っつーかそろそろ帰ってこねーと…」


『誰も心配しないから。』


別に心配なんてもういらないけどね。


「…はぁ……。俺が心配して……」


あたしは翔太郎の言葉を遮った。


『今日は帰らない。友達んちにいるから。』


「…明日も学校休む気か?」


『翔太郎には関係ない。』


「関係なくないだろ?」



『…もう説教は嫌なんだよね』



「……沙織、俺はな、お前の兄貴として…!」





ぴっ





あたしは一方的に通話を終了させた。