「友達、可愛いね」
『タイプ?加奈子は彼氏いるけど、でもあんたのことかっこいいっていってたから紹介してあげようか?』
「いらねーよ。可愛いっていっただけじゃん。」
女にこんなことを言われたのは初めてだ。
『ふーん。そう。』
そして彼女の言葉には何となくとげがある。
何をいっても感心のない返事。
「着いたよ」
『……いいとこ住んでるね』
「親の仕事よかったってだけ」
「……」
俺は帰ろうの重そうな荷物を取る。
『自分で持つから』
真面目にそういわれたのも初めて。
「俺の部屋7階の奥から2つ目。先に行ってて。俺お兄さんには連絡しとくから。』
『そうしといて』
そこはやけに素直だった。
今思えばただたんに兄さんには安心してほしかったんだよな。

