「吉野香織です。よろしくお願いします。」
俺はその娘を見て驚いた。
「…………?」
昨日会った女の子にどこと無く似ていたから。
いや、本人…?
「桜祐〜一目惚れかぁ」
「春樹さんっ桜祐さん困るじゃないですか!」
彼女が顔を赤くする。
「俺達って初対面?」
「うぉっ!クサイ口説きかただな!!!もー桜祐〜ドラマじゃあるまいし〜」
「え?あぁ、はい、たぶん。あ!でもあたし、よくここあたりでバイトしてるんで桜祐さんがみたことるならそーかも(笑)」
あ…
違う
そっくりだけど違うわ
あの子はこんな風に
笑ってなかった。
「俺の勘違いだったかも、ごめんね」
「え?あ…いぇ。」
なんだかがっかりしている自分が不思議に思う。
世界にはそっくりな人間がいるもんだな。

