『あんたも帰ったら?』
彼女が俺を見ていった。
「お前が帰ったら帰る。」
『変わってるんだね』
「俺も街中で裸足でいる変わった女、始めてみた。」
『…あぁ。裸足ね。……生きてるんだって感じられるから。』
「?」
『死んだら裸足で地面の感触なんてわかんないじゃん。…あーあ今日も生きてんのかぁー。…凄いな自分!って。がんばりすぎじゃんって毎日褒めてるの。』
明るく話しているものの、
内容は決して楽しいものじゃない。
「……死にたいの?」
『…………どうかな?』
悪戯に笑う彼女。
「辛いことでもあった?俺でよければ話聞くよ?」
『別に。辛いことなんてない。なーんにもない!むしろ忘れたー!笑』
また笑った。
彼女は自分がうまく笑えていないことに気づいてないのだろうか?
「………」
『あんたが帰れなくなっちゃうからあたし帰ってあげる!』

