私も気づかないふりをしていた。 気づかないふりをして、応えてた。 傍にいたかったから……。 「いつでも来ていいから」 そう言って渡された、伸也の部屋の合鍵。 プレゼント用の小さな箱。 私はそれに、合鍵をそっと入れた。 今日は伸也が部屋にいる。 もう、この合鍵を使うことはない。