ただ、準平だけが違っていた。
準平はソファに座り煙草を吹かし窓の方を見ていた。一言も発していない。
するといっちーが、
「名前……朝比奈さんだったよね? 下の名前、何だっけ?」
「瞳です」
「へぇ~何か芸能人みたいな名前だね」
はるかが、私を下から上へと汚い物でも見るような目つきで言った。実際私はTシャツにジーンズにスニーカーだ。はるかは……ピンクのミニのワンピースにミュールをはいていた。
何だか、私はここにいてはいけないような気がして、もう出ようと思った時、
「あのさ、差し入れとかないの?」
ヤスがアゴを突き出しながら言う。
「あ……すみません」
「えぇ~! 何も持たないで来たのぉ~? それは残念ね~みんな」
はるかに言われ私は返す言葉もなく下を向いていた。
「別に、差し入れなんていいじゃん。急だったんだし」
さすがに聡がフォローする。
「お邪魔しました」
私は、居たたまれなくなり楽屋を出た。

