「そして、ボーカルは準平です! よろしく!」
一人一人の紹介に、いちいち歓声があがる。それでもなお私は、ずっとボーカルの男……準平を見つめていた。
激しいロック調の曲から、聴かせるバラードまで様々な音楽を演奏するアマチュアのバンド。
〈oasis〉という名前のバンド。
oasis……オアシス。
このオアシスと言うバンドが、私をどんどん引きずり込んでいく存在になろうとは予想もしていかなった。
………………
約1時間半のライブが終わり、私達はライブハウス近くのイタリア料理店に来ていた。
「ねぇ瞳、今日のライブどうだった?」
「楽しかったよ。ストレス発散できた」
「え~! だって瞳、全然弾けてなかったじゃぁん!」
「ライブってあんまり行ったことないから、どうやってノッていいかわからなくて」
「瞳の好きなようにノッていいんだよ!」
菜々は、私のことを源氏名で呼んでいる。まぁ、私も〈菜々〉と源氏名で呼んでいるが。

