「店、辞める」
時が、止まった。店内に流れている洋楽も私のなかで止まった。私は下を向いている菜々から目が離せないでいる。菜々を凝視したまま、何か言おうとするが、うまく言葉が出てこない。小刻みに唇が震えてるのがわかる。
「今すぐじゃないけど」
静寂を破るかのように菜々は言った。私はハッとして右手で前髪を触った。店内の洋楽がまた聞こえ始めた。だが、菜々に呼び出された理由を私は薄々感づいていたのかも知れない。話がある、と言われた時点で、なんとなくわかっていた気がする。
「……辞めて、どうするの……」
割れ物に触れるかのように、そっと警戒しながら聞いた。答えを聞くのは怖かったけれど、聞かないと始まらない。菜々は、
「専門学校に行こうと思ってる。できれば東京で」
「専門学校?」
なんだか拍子抜けしてしまった。私の予想では、地元に帰ってまともに就職するのだと思っていた。
「何系の専門学校なの?」
時が、止まった。店内に流れている洋楽も私のなかで止まった。私は下を向いている菜々から目が離せないでいる。菜々を凝視したまま、何か言おうとするが、うまく言葉が出てこない。小刻みに唇が震えてるのがわかる。
「今すぐじゃないけど」
静寂を破るかのように菜々は言った。私はハッとして右手で前髪を触った。店内の洋楽がまた聞こえ始めた。だが、菜々に呼び出された理由を私は薄々感づいていたのかも知れない。話がある、と言われた時点で、なんとなくわかっていた気がする。
「……辞めて、どうするの……」
割れ物に触れるかのように、そっと警戒しながら聞いた。答えを聞くのは怖かったけれど、聞かないと始まらない。菜々は、
「専門学校に行こうと思ってる。できれば東京で」
「専門学校?」
なんだか拍子抜けしてしまった。私の予想では、地元に帰ってまともに就職するのだと思っていた。
「何系の専門学校なの?」

