「…篠田虹。」

「虹って呼んで。」


普段なら全力で拒否するだろう。

でも今日はなぜかそんな気にはならなかった。


「虹。」

「なに?」


あたしは虹に抱きしめられたまま、聞こえるか聞こえないかの声で小さく呟いた。