そんなわけない。



たとえ姫仲が俺を好きじゃなくても、あの時振られていたとしても。



きっと俺は、ずっと姫仲のことが好きだったから。



姫仲のためなら何でも我慢できるはずだったから。



「…………や……」



微かに、絞り出すような声が俺の耳に届いた。



「え…?」



「何でそんな勝手なことばっかり言うの!?」



瞳に溜めていた涙が、ポタポタとこぼれ落ちた。



「ずっと有明のことが好きで…っ…告白されて嬉しかったのに…!」



初めて聞いた「好き」と言う言葉に、耳を疑った。