あぁ、もうダメだ。



「もういいや…」



パッと壁から手を離し、姫仲を見ずに離れた。



「有明…?」



「もう分かったから。…なぁ……別れよっか…。」



さっきまで晴れていた空が、まるで俺の心を現すかのように、曇り始めた。



ポツリ、ポツリと大粒の雨が、だんだんと体を冷やしていく。




「な、んで……?」



今にも泣き出しそうな顔で、俺を見る姫仲が、愛おしくてしょうがない。




「俺は……俺のこと好きでもないやつと付き合えるほど、優しい男じゃねぇから…」



嘘だ。