しゃぼんだま。
君に息を吹き込まれて、
すぐに消えてしまって。
残念そうに君が笑う。

「折角大きく作ったのにさ、
 すぐ割れちゃうんだよね」
ぼくの方に首を傾けて君が言う。

「しょうがないよ、
 屋根が近いんだし風も強いから」


すぐに大きく吹くのには飽きて、
今度は小さい量産型に移る。

うざったい程にたくさん飛んだシャボン玉に君は喜んだ。

「このままずっと、
 割れないでいてくれればいいのにね。
 すっごく綺麗だもん」

無邪気に笑う君に、
無邪気に笑えないぼくは困る。


「そんなことになったら、
 ベタベタするわ邪魔だわで嫌になるよ」

可愛げないなぁ、と笑う
君のその笑顔が一番綺麗なことを
ぼくは知っているから。


その笑顔がずっと、
消えないことを願います。