なんでいるんだろう。
どうしてわかったんだろう。
ねぇ、なんで?
あたしは陽太がいなかったかのようにその場を逃げようとした。
「なんで逃げんだよっ」
あたしの腕を掴んだ。
痛い。
すごく力が強い。
「放して」
「放さない」
「放して」
「放さねぇー」
どうして放してくれないの?
いいじゃん。ほっといてよ・・・。
「何があった?」
「え?」
「どうしたんだよ・・」
「・・・・」
「助けてやりたい」
「・・・・」
「話してくれねぇーか?」
あたしはどうしてこんなにも弱いんだろう。
この人の―・・・陽太の目を見ると本気って伝わってくる。
あたしは下を向いて、
「あの頃は・・・」
口を開いた。
あの頃は・・・確か小学校の頃。
大好きだった友達の優実ちゃんと遊んでた時だった。
優実ちゃんは急にあたしの腕を掴んできた。
どうしたんだろう?と思い「どうしたの?」って聞いたら優実ちゃんは泣きながら「優実ね・・・いつもからかわれるの。んっ・・・だから・・・優実いじめられるかもしれない。」
優実ちゃんは大声をあげて泣いた。
どうして急にそんなこと言うんだろう・・・?
優実ちゃんはいつも優しくてかわいくて・・・自慢の友達だった。
なのにどうしたの・・?
あたしは泣いてる優実ちゃんがすごく・・・可哀そうで。
優実ちゃんの手を掴んで「大丈夫。その時は光莉が守ってあげる」と誓った。
「じゃあ・・・光莉に何かあったら助けてあげる」
優実ちゃんは笑ってくれた。
いつも笑っててほしい。
あたしたちは仲良しのまま小5になった。
同じクラスになれてすごく嬉しかった。
優実ちゃんは「また一緒だね。よろしくね光莉ちゃん!」って笑ってくれた。
そんな時。
優実ちゃんがいじめられるようになったのは―・・・。
最初は軽くすんだ。
たまに転ばされるとかいつもそういうのばっかだった。
でも、段々酷くなってきた。
トイレに入ると汚い水をかけられ・・・下駄箱には落書きされて・・・机にはひどい言葉の落書き、教科書は捨てられてる。
優実ちゃんはいつも泣いてた。
一人で泣いてた。
あたしはわかる。