その瞬間、いきなり腕をつかまれた。


「きゃっ…!?」


「お前、ぼーっとすんなって!

車来てたぞ!」


前を見ると信号は真っ赤。

今はもちろん通勤の時間帯だから

びゅんびゅんとすごいスピードで

車が通りぬけてゆく。


瀬川君が止めてくれなかったら…

と思うと、ゾッとした。


「ごめん…なさい…」


シュンとしてあたしが謝ると


「まぁ…無事だったからいいけど!

次やっても助けないからな!」


と無邪気に笑った。



「…あ!ご、ゴメンっ!腕、痛かった…よな?」


「あ、大丈夫…。」



「…ほら、ここらへんあんまり

車がスピード守ってないからさ!

ホント、警察もこういうところで

取り締まりしろよって感じ!」


そういって、取り繕うように

またハハッと笑う瀬川君。