あたしは、何が起こったのかよくわからないまま
ただ、少し足の速い瀬川君に歩調を合わせるだけだった。
「…瀬川、ごめんな?
迷惑してない?」
「大丈、夫…だよ。けど…」
「…何?」
どうして、あたしの家に来たの?とは
聞けなかった。
〝憧れ〟という感情が
〝恋〟に変わっていくのが怖かった。
恋は、辛くて苦しいものでしょ?
憧れは、ただその人に憧れるだけ…それだけ。
少なくとも、あたしはそう思う。
小さいころから、引っ込み思案だったあたしは
恋らしい恋はしたことはない。
…と思っていたい。
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