「ちょ..っと」
一度唇を離して胸を押そうとすると
「ここまで我慢させたのは千尋さんですよ」
「んっ..んん!」
再び唇が重なる。
この扉の一枚向こうではまだ仕事をしてる人達がいて。
話声が直接聞こえてくる。
誰かが来るかもしれないのに
仕事が終わったら此処を通るのに
何でこんなにコイツとのキスがいいなんて思うんだろう?
「千尋さん、俺が好きって認めてください」
長いキスの後、
少し切なそうにあたしを見つめる。
「ちが..あたしはだから」
「好きなんでしょ?俺の事」
違うって言いたいのに
否定したいのに
拒否したいのに
それが出来ないのは
「嫌だったら全力で否定して」
そう言いながらまた唇が重なるから?
それともあたし本気でコイツの事...


