閉店もあと5分に控えた頃。
いきなり後輩が呟くように言って来た。
「ありがとうございました」
深々とお辞儀をしながら
「あんた、何でそれ知ってるの?」
じろりと睨むと
「だって休憩のとき男の人達が騒いでましたもん。最近誘ってもちっとも来ないって」
あ、ありがとうございました
慌てて挨拶をする後輩に
「何かそんな気なれないんだよね~ありがとうございました」
「もしかして例の呉服屋の..」
「ち、違うわよ!!」
自分の叫び声に客が驚いてこちらを見る。
「失礼致しました、ありがとうございました」
ったく、
「いいじゃないですか、付き合っちゃえば」


