「ありがとうございました」
いつもこなしてる仕事も
接客も。
何でか集中出来ない。
大地との事があってからじゃない。
あの時の西島さんの顔が
頭から離れないんだ。
「お疲れ詩乃」
仕事帰り、今日はちょっと変わった趣向で立ち呑み屋に入るとこれまた偶然というか
千尋が驚いた顔で手を振ってる。
「お疲れ、あんたも来てたんだ」
「まぁね。たまには、って思ってさ。それよりもどうだったの?彼との件は」
ここ数日千尋に会ってなかったから大地との事は話せてなかった。
心配そうな顔で見つめる千尋に
あたしは数日前の事を全部話した。
「なるほどね。で、詩乃は西島さんに素直になれないってか」
「そんなあたし!!」
「詩乃、気付いてる?さっきから西島さんとの事ばかりだよ」
「え..大地の事も話したはず」
「うん、でも詩乃ってばさっきから“何で素直になれないんだろう”ってそればっかり。それって西島さんが気になって気になって仕方ないんでしょ?」
「そ、それは」


