恋するデパートガール



「あー知ってる、西島さん!!確か先月までは紳士服の方でマネやってた人だよ」

お昼休み。

社員食堂に行ったあたしとかぶった千尋がニヤケながら
うどんをすする。


「紳士服にいた社員が何で今食品にいるの?」

味噌ラーメンにコショウを思いっきり振りながら質問すると


「さぁ~確か西島さんの親って役員会に入ってるって聞いたことがあるけど」

役員会。

つまりは高越百貨店の上層部にいる人達のことだ。

「それってつまりコネってこと?」

「さぁ、でも相当優秀らしいよ?ほらうちの店舗って結構あっち系の人が来るじゃない?」

あっち系..千尋の仕草を見るとどうやら極道の事らしい。

「あぁ、まぁね、うちにも結構来るけど」

「で、フロアマネージャーがクレーム起こしたらしいの」

「ぶっ!!フロアマネージャーが?」


うちの百貨店にはマネージャーとフロアマネージャーがいて。

フロアマネージャーっていうのはその階全体をまとめている人。

マネージャーっていうのはフロアマネージャーを助ける人ってことになってる。


まぁフロアマネージャーってあまり見かけないから、
あたし達販売員はマネージャーを頼ってるんだけれど。

でもその階の一番偉い人がクレームって..


「それ、処分酷かったんじゃないの?」

「まぁね..今は地方の子会社に転勤だよ」

「うわ、ご愁傷様。で、西島さんがどうしたって?」

「あぁ、でも西島さんの接客があまりにも堂々としてて、逆に褒められちゃって。
エリア賞とか取っちゃったらしいよ」

「へぇ~でもそんなすごいの取ったんだったらあたしでも分かるはずなのに」

「拒否したんだって」