向かう場所は地下1階。 詩乃の売場まで急ぎ、働いてる詩乃を呼んだ。 「お疲れ様です、いかがなさいましたか?」 仕事上、お客様が通るこの場所での私語は厳禁。 でもきっとこの子は悲しいことも必死に隠して仕事をしてる。 不器用で、うそつくのが下手で。 そんな子でも一生懸命がんばってる。 そう思うといてもたってもいられなくて。 「今夜、終わり次第そちらに行かせていただきますので」 ぎゅっと拳を作って言うと あたしの言いたいことがなんなのか分かったのか こくんと頷く。