「いやだ、痛いってば!!」
やっと離してくれたのはお店の外をでてからで。
ばっと離してあたしを見下ろす。
「な、何よ。バカにしてんの?」
さっきからその無表情腹が立つのよ。
「いえ、バカにはしてません」
「どーせあんただってあたしの事、軽いとか思ってんでしょ?でもねいいの。あたしはそれでいいのよ。セックスさえできればいいんだから!!」
何だろう、酔っぱらってるのかな?
それとも叫んだせい?
こんな感情的になる気なんてないのに。
「誰もそんな事思ってませんよ」
あたしとは対照的に冷静に答える。
「な、なによ。ムカつく!!あんたなんかムカつくのよ!!」
そう言うとぐいっと腕を引っ張られ抱きしめられる。
ムカつくほど大きな身長。
意外と広い胸があたしを包み込む。
何よ、何よ。
「ムカつくのよ」
「はい」
「ムカつくんだってば!!」
「はい」
何よ何よ何よ
「行くわよ」
これ以上抱きしめられたままなんて
恥ずかしくて悔しいから勢いよく離れてにらみつける。
「どこへ?」


