あなたと最近話をする機会が多くなったせいで
周りの店舗の女性社員からきつい視線を浴びせられてるの、
知らないのかこのやろう!!


「い、いえ今は急いでますので」

確かに急いでるのは事実だし。

「どうせB1まで一緒だろ?」

そうなんですけど。


「すみません!!本当に急ぐので!!」

お辞儀をして階段をかけ上ろうとするあたしに


「ひゃあ!!」

ぐいっと腕を引っ張られて、すとんと勢いよく西島さんの胸の中に倒れる。


「ちょ、転んだらどうしてくれる」

「この前の話。元彼のこと忘れられないの?」

「え?」

「千尋ちゃんが言ってただろ?」

「離して下さい。仕事に」

「答えて」


耳元でささやく声が体の心まで入ってきて。

心臓の鼓動が速くなる。

「西島、さん?」

名前を呼んで顔を上げると

すぐ近くにある顔に視線をそらしてしまう。

「何でそらすの?」

「何でって・・」