「じょ、冗談止めてよ!!」
バンバンと席を叩く詩乃。
ったく明らかに意識してるくせに。
「じゃあどうしたいのよ」
ったくいいオトナが、何をそんなに迷ってるんだか。
「あたしは..まだ大地の事だってあるし」
“大地”
聞き覚えのある名前に必死で記憶を辿る。
彼ならあたしだって何度も会った。
凄く素敵で優しくて。
本当に詩乃に一途で。
あたしの事もまるで妹みたいに―――
「大地くん、かぁ」
ぽつりと呟くと
「そんな簡単に気持ちなんて変わる事なんて出来ないよ」
急にしぼんでいく詩乃。
そうだよね。
この二人の悲しい恋の結末は
本当に切なくて。
大声で叫ぶように泣く詩乃をあたしは何度も何度も
励まして、抱きしめた。
「でもそれがいい薬になるかもしれないじゃん?」


